2026-03-17-Tue

デザイン美術学科、メディア・芸術学科メディアコース 「卒業制作展」レポート

  • ホーム
  • Information
  • デザイン美術学科、メディア・芸術学科メディアコース 「卒業制作展」レポート
 
  • 芸術イベント

2年間の学びの成果を発表する「卒業制作展」が開催。

“画像説明”

2年間の学びの集大成となる卒業制作展が2026年2月6日(金)から11日(水)まで6日間にわたって本学で開催されました。デザイン美術学科のすべてのコースとメディア・芸術学科のメディアコースの作品が発表され、多くの入場者が訪れました。

デザイン美術学科

“画像説明”

デザイン美術学科の卒業制作展は本部棟の体育館や展示室、学生ラウンジなどで9コース12専攻の作品が展示されました。卒業制作は「自分のやりたいことを表現する」がコンセプト。学生たちは独自の発想でルールに縛られることなく自由に制作に取り組んできました。
2026年も1人につき1ブースという贅沢な空間の中で、さまざまな個性が咲き集いました。


上位に入賞した優秀作品を紹介します。

  • “学長賞<br 門野 響俐さん 
    グラフィックデザイン・イラストレーションコース[イラストレーション専攻]
  • 学長賞
    「Gummy Town」

    お菓子の町を舞台にした謎解き絵本。赤ちゃん怪獣やお菓子キャラクターの造形のかわいさ、ポップな色使いや謎解きのアイデアなど圧倒的な完成度の高さで学長賞に。「好きなものを描いた作品が賞に選ばれるなんてとても光栄です。親子で楽しめるよう体験型ゲームの要素を取り入れました」カラフルで個性的なキャラクターを考えるのが大好きという門野さん。全編自分の「好き」を詰め込んで楽しい絵本に仕上げました

  • “ミネアポリス美術デザイン大学学長賞<br 西山 栞央さん
     絵画・版画コース[絵画専攻]
  • ミネアポリス美術デザイン大学学長賞
    「STAY THERE」

    ポップな表現の中に不穏さを漂わせ、異世界へと誘導する作品。木粘土で人形を創作したり、作品を大胆に分割したり、油絵具に砂を混ぜ込んでみるなど独自の試みが作品を際立たせています。「最初から絵のテーマはなく、描いているうちにイメージが広がっていきました。単に楽しい絵ではなく、鑑賞した人に違和感や引っ掛かりを感じてもらえたらうれしいです」

  • “金賞<br 花牟礼 真菜さん
     工芸・立体デザインコース
  • 金賞
    「モコモコlocomotion」

    もこもこの雲と温暖前線をモチーフにやさしく、心地よく、あたたかな世界を表現しています。球形の雲パーツを付けた後に中を空洞にするなど手間ひまかけて作り上げた力作です。「一番ドキドキするのは乾燥の工程です。乾燥が十分でないとひび割れの原因になるので。焼成中にパーツが割れることもありました」大きな球体だと乾燥には1ヶ月を要します。陶芸は長い時間との戦い。その苦難を乗り越えて金賞に輝きました。

  • “銀賞<br 三木 優さん グラフィックデザイン・イラストレーションコース[グラフィックデザイン専攻]
  • 銀賞
    「妖怪/remix」

    古典的な妖怪を、存在まで遡って再解釈。「姿」「個性」「宿る」の3つのテーマで独自の表現を試みました。「昔から伝承されているけど“妖怪って何?”と問われるとその実体はわからない。曖昧な存在の妖怪を自分なりに深掘りしてグラフィックで表現できたらいいなと思いました」既成概念にとらわれないスタイルにクリエイティブなセンスを感じました。

  • “銀賞<br 渡辺 心菜さん
     絵画・版画コース[絵画専攻]
  • 銀賞
    「メランコリア」

    生命が終わり、そして新たな生命が始まる。その循環を深海の中でダイナミックに表現。海の生物には光が宿り、細部まで緻密に描き込んだ描写力が高評価を得ました。「リアルな海の中ではなく、私が創造する海の世界。一つひとつの生物を大きなキャンバスにどう配置するのか最後まで悩みました」何度も描き直し、試行錯誤を重ねてようやく完成した作品です。

  • “銅賞<br 木村 聖さん
     絵画・版画コース[版画専攻]
  • 銅賞
    「依って繭」

    描いたのは、画家と彼が作品の中で創造した女性との間に生まれる静かな依存。エッチングとアクアチントの技法により、依存性に潜む緊張感を描き出した作品です。「銅版画のアクアチントがつくり出す明暗の美しさが好きです。入学時は版画志望ではなかったのですがアクアチントに出会って『これだ!』と思いました。今では最も心が踊るのは版画と向き合う時間です」

  • “銅賞<br 綿谷 祐希さん
     キャラクター・マンガ・フィギュアコース[フィギュア専攻]
  • 銅賞
    「いたずらコザクラインコ」

    紙を破いたり、リモコンを齧るなどインコのいたずらをテーマに制作。「小学生の頃からインコを飼っていて、結構被害にあっています(笑)そのインコのおもしろさをみんなに知ってほしいと思いました」その姿は非常にリアルで、羽の風合いや色のグラデーションも見事に再現。一緒に過ごしているからこそ表現できる精緻な造形や独特のかわいさは一見の価値アリです。

  • “銅賞<br 中村 夕陽さん
     空間演出デザインコース
  • 銅賞
    「TYPE MEASURE」

    「いじめ」や「差別」など現代社会が抱える問題の解決に、空間デザインの観点からアプローチ。問題を抱える当事者がこの宿泊施設で暮らすことで思考や行動が変わる、そんな提案を行なっています。「相手を変えることはできないけれど自分の意識を変えることはできる。非日常な空間で新たな気づきを促すことで、自己理解が深まるのではないかと思っています」

ZOOM UP
ドローンクリエイターズコース1期生による優秀作品を紹介します

  • “学科奨励賞<br 杉山 陽香さん
     ドローンクリエイターズコース
  • 学科奨励賞
    「違」

    日常で感じる「違い」にスポットを当て、ネガティブに捉えられがちな「違」のイメージを意識的にポジティブに変えようと挑戦した展示作品。
    そのうちの一つにフォト作品があり、「違」の手前にある違和感を、私の中で“不自然さ“や”らしくなさ“と定義しました。あえてそれらを強調して作為的に撮ること、また偶然生まれる瞬間にも、おもしろさというポジティブな感情が生まれます。
    “違う“ことを前向きに捉える、そんな視点で制作しました。

メディア・芸術学科 メディアコース

“画像説明”
どれも課題に真摯に向き合った思いが伝わってくる力作揃いで、実り多い卒業制作展となりました。

各専攻の展示の様子を紹介します。

【先端メディア専攻】

伊丹市をメインにさまざまな活動の様子を展示と動画で報告!

先端メディア専攻はフリーペーパー「Tan Tan」の発刊や、情報サイト「TanTan-Magazine」の発信、SNSを使った情報発信などを行っており、記事内容はすべて学生たちが取材・制作しています。また独自でさまざまなイベントを企画・運営し、地域の活性化のお手伝いもしています。

「うま★いたみ」プロジェクトで地元の飲食店を応援!

2025年は伊丹のグルメにスポットを当てた「うま★いたみ」プロジェクトを推進。伊丹市の郷町商業会と連携し、美味しい店、こだわりの店、個性的な店など学生目線で名店を発掘して、「Tan Tan」や「TanTan-Magazine」で発表しました。
一軒一軒、学生たちが取材・撮影を行ってお店の魅力を伝える企画です。取材の交渉やスケジュール調整もすべて学生たちで行いました。どのレポートも力が入っており、思わず行きたくなるような臨場感にあふれていました。
卒業制作展の会場では冊子の配布とともに、各店を紹介する動画を巨大プロジェクターで発表。編集やBGMにも工夫して、楽しいグルメコンテンツに仕上げました。

イベントコンクール月間最優秀賞を受賞した
イオンモール伊丹昆陽との産学連携企画もパネルで紹介

「イオンモール伊丹昆陽バズらせ隊」は、30秒動画で当モールの魅力を表現し、SNSでバズらせようという地域活性化の企画です。12の動画が制作されただけでなく、モール内の特設ステージで関連イベントも開催。舞台芸術コースの加納竜教授や芳本美代子教授も来場しておおいに盛り上げ、集客につなげました。 さらにこの取り組みがイベントコンクール月間最優秀賞にも輝くという栄誉も!
卒業制作展では、「イオンモール伊丹昆陽バズらせ隊」のパネル展示や「Tan Tan」のバックナンバーの展示・配布も行いました。

  • “画像説明”
  • “画像説明”


  • “画像説明”
  • “画像説明”

【広告専攻】
学生たち1人ひとりが制作したポスターとCMを発表!

広告専攻は2年間の集大成として、学生1人につきポスターとテレビCM、ラジオCMをそれぞれ制作。企画書づくりから、デザインレイアウト、コピーライティング、絵コンテ制作、撮影や動画制作、編集に至るまで1人で完成させます。
メディア・芸術棟1階の壁面には、学生たちが制作したポスターを一斉に展示。テーマに向き合い格闘した成果を発表しました。
CM広告はテレビスタジオの巨大プロジェクターに映し出され、多くの来場者が観賞しました。

「規定課題」と「自由課題」、 「自分を売り込むポスター」というユニークな課題の作品も展示。

全員が決まったテーマに取り組む「規定課題」では「日本赤十字」の公共ポスターを制作。献血や災害援助など生命とつながるテーマをどう表現し、見る人にどのようなメッセージを伝えるか……1人ひとり異なるアプローチで課題に向き合いました。どの作品にも学生たちの真剣さや人間らしさがあふれていました。
「自由課題」では食品や化粧品など身近な商品を想定してポスターを制作。既成概念に捉われない大胆な切り口に、学生らしいフレッシュな感性を感じました。
また前期に取り組んだ「自分を〇〇に売り込むポスター」という課題制作も展示。〇〇には業界や職種、「友達」「初対面の人」などのワードを入れて想定する相手へ自分をアピールしました。どれもビジュアルやコピーに遊び心が感じられ、学生の発想の自由さに思わずクスッと笑ってしまう表現もありました。

独自の切り口と表現法で企業や商品のCMを制作。

CMは本来クリエイターがチームを組んで作り上げていくもの。その大半を1人で担い、必要な段取りや人材を自力で集めてやり遂げるという難題に学生たちは果敢に挑戦しました。
企画の立案、絵コンテの作成から始まり、撮影や編集、BGMやナレーションなどの音入れ、テロップの制作・挿入など膨大な作業があり、さらに家族や友人に出演を頼んだり、ロケ地を探したり、商品の撮り方を工夫したりと、1作1作に気の遠くなるような手間と時間がかかっています。
「おしゃれさ」「インパクト」「シュール」こだわるポイントは十人十色。中には自分の好きなラップミュージックを使いたくて制作したCMも。企画意図はさまざまでも、どの作品にも制作に取り組む熱量の高さを感じます。
CM制作に欠かせない絵コンテの数々も展示され、完成させるまでの舞台裏を垣間見ることもできました。

  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”

【放送専攻】
伊丹市のさまざまな活動を取材レポート!
独自の情報番組「ちゃむ」を公開。

放送専攻はテレビスタジオ内のプロジェクターで、オリジナルの情報番組「ちゃむ」を公開。番組名の「ちゃむ」は「魅力を惹きつける=charm」に由来しています。伊丹市長へのインタビューをはじめ、伊丹市消防局や伊丹昆虫館、災害救助犬の活動などを独自で取材・撮影し、コーナーごとにまとめて紹介しました。
声優コースの学生が司会を務め、ゲストコメンテーターには本学で教鞭をとる原田みのる先生(ポピュラー音楽コース)、芳本美代子先生(身体表現専攻)、岡力先生(先端メディア専攻)が登場。内容について感想を述べたり、クイズに答えたり、和気あいあいとした掛け合いで番組を楽しく盛り上げました。 普段あまり知られていない伊丹市の活動レポートは興味深く、途中でクイズを挟むなど視聴者を飽きさせない構成にも工夫が見られました。

番組制作はわずか数分のニュースであっても、完成までに想像を超える手間暇がかかっています。それを一本の情報番組として制作するともなれば、プロ並みの知識や作業が必要です。
放送専攻の学生たちは1人何役もの作業を兼任し、他コースの学生や教員たちの協力を得て、放送局とほぼ変わらないプロセスで「ちゃむ」を完成させました。

実際にテレビでオンエアされた体験も!

番組内で紹介した災害救助犬の活動レポートは、地元放送局サンテレビの夕方の情報番組「ニュース×情報 キャッチプラス」のコーナーでも取り上げられ、実際にオンエアされています。自分たちの取材にニュースバリューがあると認められた感動は大きく、学生たちの自信とやりがいにつながりました。
企画・取材・制作のディレクションを行った2年生の宮本朱音さんは、今回の功績もあり卒業式の学内表彰にて伊丹市長賞を受賞するといううれしい後日談もありました。

  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”

【映像専攻】

卒業制作作品を上映する「芸短映画祭2026」を開催!

映像専攻は、長編映画「九月の魚」と中編映画「私たちの在り方」を宝塚市の映画館「シネピピア」[2月8日(日)]と、メディア・芸術棟教室[2月6日(金)〜11日(水)]の2か所で上映しました。
シネピピアはアート系の映画や話題作が上映される地元のミニシアターです。上映後は映像専攻の学生たちが登壇し、舞台挨拶をする一コマもあり、観客からの大きな拍手を受けました。映画館での上映は感動的で、学生たちにとってかけがえのない貴重な体験となりました。

喪失と再生のストーリー「九月の魚」。

「九月の魚」はとある出来事がきっかけで部分的な記憶をなくし自暴自棄になっている主人公が、終活アドバイザーの仕事に就き、さまざまな利用者や老人との出会いの中で再生していくストーリー。アイドルだった同級生との辛い記憶を思い出しながらも、最後は命の在り方と向き合って前を向いて進みます。作品のテーマは「どんな職業を選んだとしても、それが正解とは限らない」ですが、それだけにとどまらず、見る人に問題を投げかける社会性を帯びた作品です。京都や奈良、大阪など関西圏内でロケを敢行し、リアルな表現にこだわって制作しました。

自分の人生を生きることを謳う「私たちの在り方」。

「私たちの在り方」は大学進学を望む父のプレッシャーに耐えられない凪がカメラが大好きな泉に出会い、価値観の変化とともに本当の自分に出会える物語。「普通は人それぞれ。私が良ければそれで良い。」という“自己尊重”と“他者尊重”の大切さを描いた作品です。今を生きる若い世代が共感できるテーマだと感じました。

どちらのチームも配役や音楽などは学内外の仲間の協力を得ながら、監督・脚本・撮影・録音・照明・編集などはすべて学生たちだけで制作。2作とも人間の悩みや苦しみと向き合った、メッセージ性の強い作品となりました。

  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”
  • “画像説明”

----------------------------------------------------------------------------
卒業制作展2026では、「努力の賜物」という表現がぴったりの熱意のこもった作品に出会えました。
このすばらしい成果を宝物にして、それぞれ新たな道に歩んでいく学生たちにエールを送ります。