2017-10-01-Sun

教授が直伝する「ポートフォリオ」のつくり方

 
  • デザイン美術学科
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方

ポイントをおさえ、アピール力をUP!

デザイン系、アート系、クリエイター系の就職活動で必要となるのが「ポートフォリオ」です。ポートフォリオとは、作品の画像などをファイルや冊子にまとめた作品集のこと。就職活動をうまく進めるための重要なアイテムになります。
デザイン・広告・編集の業界で豊かな実務経験をもち、就職指導にも力を入れている籠谷貴子教授に、ポートフォリオづくりのポイントを聞きました。

目を留めてもらい、作品を印象に残すための工夫を

はじめに、ポートフォリオの目的をきちんと理解する必要があります。目的は、作品を見てもらうことで、自分の能力や将来的な可能性を見出してもらうこと。しかし、見やすいポートフォリオになっていなければ、そもそも目を通してもらえないと籠谷教授は話します。
「想像してください。採用担当者は大勢の入社志望者の膨大なポートフォリオを見なければいけません。多くの中から光るものをスピーディに選別しなければいけませんから、そもそも見づらいものや構成がわかりづらいものは一瞬で除外されてしまいます。いかに目を留めてもらい、見せるべき作品を見てもらうことで自分の印象をいかに残すか、という視点が大切です」

NG!古い順に並べてしまう

  • 時系列に作品が並んでいることは、見る側にとってはあまり意味がありません。むしろ、さまざまなジャンルの作品がランダムに並んでしまうので見づらくなりがちです。高校時代の作品まで入れる学生もいます、企業は最新の作品に興味があるので不要です。最近の自信作をジャンルごとに整理して構成しましょう。

OK!ジャンルごとに整理する

NG!見せたい順番に並べてしまう

  • 学生が見せたいものと企業が見たいものが必ずしも一致するわけではありません。例えば、パッケージデザインに強い会社に見せるポートフォリオなら、トップにもってくる作品はパッケージデザインの作品にするべきです。はじめにポスターが並んでいるだけで以降のページを飛ばされてしまうかもしれませんし、「この学生はパッケージが得意なうちの会社のことを理解していないのかな」と思われてしまうおそれもあります。

OK!企業が見たいものから並べていく

NG!今ひとつな作品も入れてしまう

  • 見る側にとって、ポートフォリオに収められている作品の多さはあまり重要ではありません。あくまでも作品の質です。ですから、今ひとつな作品があると、せっかく一部の作品に興味をもってもらっても、全体的な評価が下がってしまいます。出来のよくない作品は載せないという決断が大切です。

OK!納得のいかない作品は思い切って落とす

NG!いろいろ詰め込んでしまう

  • ポートフォリオは見開き(2ページ)で一つと考えてデザインします。左右のページに違うテイストの作品を入れると、作品同士がケンカしてどちらもきれいに見えません。2ページで一つのまとまりになるようにレイアウトします。もし、テイストが合わないなら、1ページは余白でもかまいません。 また、ベースに色を敷いて作品を置いたり、タイトルや説明文に変わった書体を使うなど、作品以外の部分に凝った装飾をすると、結果的に作品の印象が薄くなります。できるだけにシンプルにつくることを心がけましょう。

OK!作品以外はシンプルに。余白もデザインと考える

NG!PDF版をファイル(冊子)と同じようにつくってしまう

  • 実物のファイルや冊子になっているポートフォリオではなく、PDFデータで送ってほしいという企業も増えています。ファイルの場合、見やすさを考えると、余白を大きくとる工夫が効果的です。しかし、そのようなファイル版を単純にPDFデータに置き換えると、パソコン上では間延びして単なる作品の羅列にしか見えません。また、画面では、縦位置の画像より横位置の画像のほうが見やすいので、データをつくりかえるなどの配慮が必要です。

OK!PDF版はパソコンで見やすい構成に

教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 寺原成美さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 寺原成美さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 寺原成美さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 寺原成美さんの例

架空の「おにぎりカフェ」をテーマに、Webサイトのデザインが展開されています。その中でロゴタイプやパッケージデザインも見ることができ、自然な流れで作品を確認していくことができます。

教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 上野那智さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 上野那智さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 上野那智さんの例
教授が直伝する「ポートフォリオ」の作り方 学生のポートフォリオ 上野那智さんの例

「エディトリアルデザイン」「プロジェクト」「広告」「プランニング」「ポスター」という5ジャンルで作品をつくったことを効果的にアピールしています。余白を活かした配置でとても見やすくまとめられています。