2022-02-12-Sat

卒業制作2022

 
  • デザイン美術学科
  • 芸術イベント

ものづくりへの想いと向き合った、かけがえのない2年間

2022年2月7日から12日までの6日間にわたり、伊丹学舎で「卒業制作展2022」が開催されました。デザイン美術学科ではグラフィックデザイン、イラスト、空間デザイン、マンガ、3DCGなどのデジタルアート、絵画や版画、工芸などたくさんの作品が出展。メディア・芸術学科においても、映像作品の上映、朗読劇、広告・フリーペーパーの展示など多種多様な発表が行われました。

今回作品を出展した学生たちの多くは、2020年度入学。新型コロナウイルスの蔓延により、世界情勢が大きく変動する中での学生生活を余儀なくされた2年間でした。しかし、学生達はそんな情勢にも負けず、瑞々しく豊かな感性を培ったようです。それどころか「自分と向き合う時間が多く取れた」「制限があるからこそ仲間と助け合い、ものづくりを突き詰めることができた」というポジティブなコメントが多く、力強く頼もしい一面を垣間見ることができました。そんな学生たちの集大成ともいえる卒業制作展2022は、見る者を惹き付ける工夫にあふれた素晴らしい作品たちが並びました。

ピックアップインタビュー

学長賞
松岡葉那さん(空間演出デザイン)

「地域と林業を繋げる」ということを主題とした空間演出作品です。制作にあたって実際に林業の現場に足を運び、関係者へ取材を行ったことが大きな経験となり、日本の森林が抱える課題を浮き彫りにすることができたそうです。模型に加えて、プレゼンテーションパネルや自ら撮影した映像を交えた大作にまとめあげました。

金賞
尾方美月さん(キャラクター・マンガ・フィギュア)

冒険物語の世界を思わせる、幻想的なドラゴンをモチーフとした立体工芸作品。中心の球体部分に、通常フィギュア制作では使用しないような陶芸的要素を取り入れることで、新しい表現にチャレンジ。異素材の組み合わせについては、基礎実習での学びや、他コースの表現について学ぶ「クリエイティブ研究」の授業で着想を得たそうです。

銀賞
嶋津瑠奈さん(立体・工芸デザイン)

「過去と未来の結びつき」を年輪というモチーフを用いて表現したガラス工芸作品。経年変化が起こる素材を取り入れることで、今が完成形ではなく変わりゆく姿もまた作品の一部であるというメッセージが込められています。好きな表現を全部詰め込むことができ、思い出に残る楽しい制作となったそう。

銀賞
村上豪弥さん(アートサイエンス)

ガレージにあるモノたちが音楽に合わせて動き出す、見る者を存分に楽しませてくれるアートサイエンス作品。本作品の実現のために新たな技術を貪欲に学び、一つひとつの演出に丁寧に向き合いこだわり抜きました。ポピュラー音楽コースの友人と共同で楽曲を作ったりと、仲間と助け合った毎日が素晴らしい思い出となったと話してくれました。

銀賞
正井真梨奈さん(絵画・版画)

将来への不安や、周囲からの抑圧からの逃走をテーマとした版画作品。自身の芸術との向き合い方や葛藤を、一つひとつの表現に深く想いを込めることで作品として昇華させました。作品中のキャラクターにはあえて口を描かず、見た人に感情を巡らせてほしいというメッセージを込めています。

銅賞
乙亀ハルさん(キャラクター・マンガ・フィギュア)

第89回小学館新人コミック大賞少年部門で見事入選した、斬新な設定と繊細なタッチが光る作品「Manoel」。ネームを何度も何度も直し、学業と両立しながら描き上げました。楽しそうに語って下さる姿から、マンガ、そしてキャラクターへの大きな愛情が伝わってきました。

学生たちの未来への飛躍

芸術への情熱、ものづくりへの想いがひしひしと伝わる卒業制作展となりました。 人の心を打つ数多くの作品が生み出されるのは、学生自身の芸術への真摯な想い、ひたむきな努力、そして作品作りに没頭できる豊かな環境があるからだと感じます。

大阪芸短では、各分野の第一線で活躍するプロたちが、教授や講師として学生を指導しています。幅広いジャンルの専門家から助言を受け、技術的・精神的に成長することで、高い人間力と創造性を養うことができるのではないでしょうか。 また、学生たちの口からは「仲間との助け合い」という言葉も多く語られました。表現方法は違えど、芸術が好きだという同じ志で集まった友人たちと切磋琢磨する日々は、何にも代えられない楽しいひと時になったということが、作品を通して伝わってきました。

素晴らしい仲間と先生方に恵まれ、かけがえのない2年間を過ごした学生たち。大きな希望を胸に大阪芸短から巣立ち、この先どんな未来を描いていくのかが楽しみですね。